【筋ジストロフィーとは違う病気!?】
~筋肉の瘦せから始まる筋萎縮性側索硬化症~
みなさん、こんにちは。
今日は筋肉に異常を感じる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と鍼灸の関係性についてお話ししたいと思います。
一見、同じように見える「筋ジストロフィー症」との違いにも解説していきますので、最後までお付き合いくださいね。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、筋肉そのものには原因がなく、脊髄前角細胞から手足などの筋肉へ指示を伝える運動神経(運動ニューロン)に異常がおこり、手足・喉・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。
逆に筋ジストロフィーは遺伝子の異常によって正常な筋肉が作られなくなり筋力低下をおこす病気です。
大きな違いは、①発症年齢とその後の経過です。
ALSでは最も多い発症年齢は60〜70代で、わずか2〜5年ほどの経過で人工呼吸器が必要になるほど病気が進行してしまいます。
筋ジストロフィーでは発症年齢が低いほど、その後は重症な経過をたどることが多いです。
例えば幼児期に発症した場合、10歳頃には歩けなくなってしまっていることも多い病気ですが、一方で、成人になってから発症した場合には、徐々に筋力低下が進みます。
また②発症する際の症状も異なり、ALSでは手足の先に症状が出やすいことや、左右差が出やすいことが特徴で、例えば「左手だけ細かい作業ができない」などの症状が挙げられます。
筋肉以外の症状が先に見つかることもあり、「話しにくい」「食べ物が飲み込みにくい」といった喉の症状で発見される場合もあります。
筋ジストロフィーでは、一般的に身体の中心に近い筋力の低下を起こしやすいため、立ち上がる、歩く、階段を昇るなどの筋力低下で気が付くことが多い病気です。
性別では男性が女性に比べて1.3〜1.5倍あり、男性にやや多く認められ、最もかかりやすい年齢は60〜70代です。まれにもっと若い世代での発症もあります。
何か特定の職業の人に多いということはありません。
また1年間で新たにこの病気にかかる人は人口10万人当たり平均2.2人と言われており、令和に入ってから徐々に増えていること(指定難病医療受給者証所持者数の増加)がわかっています。
多くの場合(約90%)は遺伝しませんが、ALS全体の残り約10%は家族内で発症することが分かっており、これは家族性ALSと呼ばれています。
この場合は両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などに同じ病気の人がいることがほとんどです。
そのうちの約2割はスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)の遺伝子に原因が見つかります。
一方、欧米の家族性ALSではC9ORF72という遺伝子に原因がある例が多く、人種や国による違いが指摘されています。
2の「筋ジストロフィーとの違い」でも触れましたが、多くの場合、手指の使いにくさや肘から先の筋肉がやせ、力が弱くなることで始まります。
話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状や、足の筋肉がやせて力が弱くなる症状がきっかけの場合もあります。
通常左右どちらかから症状が出現しますが、まれに両側の肩周りの筋肉がやせ、力が入らない症状もあります。
どこから症状が始まった場合でも、やがては呼吸の筋肉を含めて全身の筋肉がやせて力が入らなくなり、身体を動かすことが難しくなります。
喉の筋肉に力が入らなくなると発音しにくくなり(構音障害)、水や食べ物の飲み込みも難しくなります(嚥下障害 )。
また、よだれや痰が増えることがあります。
呼吸筋が弱まると日常の動作でも息切れをおぼえ、呼吸も充分にできなくなります。
一方、進行しても通常は視力や聴力、身体の感覚などは問題なく、目やまぶたを動かす筋肉や排尿・排便に必要な筋肉の症状は発症早期には出にくいことが知られています。
もの忘れは目立ちませんが、言語(ことば)や行動の症状を中心とした認知症状がみられる場合があります。
この病気は通常量の栄養を摂取しても体重が減り続けることがわかっており、その後の研究で、体重減少の程度が大きいとALSの進行も速いことが明らかとなり、体重を維持するために充分な栄養をとることは有効な治療の一つであると考えられています。
そこで、東洋医学・鍼灸の登場です。
例えば足の脛にある足三里や内くるぶしとアキレス腱との間にある太渓といったツボをを押すことで、身体を温め血行を良くしたり、胃腸の動きを良くし、少しでも栄養が取れる身体づくりに役に立つ、あるいは喉の筋を温めて呼吸筋の活動を促進させたり、三叉神経(咀嚼筋の運動をつかさどる神経)や舌下神経(舌の運動をつかさどる神経)などの神経の上のツボを中心にマッサージして嚥下障害の改善を図ることが出来ます。
ツボ押し・マッサージで少しでも症状が軽くなる場合もあるかもしれないのです。
まとめ
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