【イギリスは鍼灸先進国!?】
〜高齢者のうつ病と鍼灸の関係を解説〜
みなさんこんにちは。
今回の記事では、高齢者のうつ病と鍼灸について記載しています。
まずはじめにうつ病そのものについて解説を行ったのち、高齢者のうつ病とはどういった病気なのか、高齢者のうつ病にどういった治療法が有効なのか、そしてうつ病に対しての鍼灸がどう対処できるかについてそれぞれ解説します。
この記事を読めば、高齢者のうつ病について理解が深まることでしょう。
ご高齢の方でうつ病を患っている方に対しても、おすすめできる内容の記事です。
それではまず、うつ病とはどういった病気かについて解説します。
1.うつ病について
①うつ病とは
うつ病とは気分障害の一種で、何をしても楽しめないという精神症状、眠れない・疲れやすい・食欲がないという身体症状などが現れる病気です。
うつ病を発症すると、物事の捉え方が否定的・悲観的になります。
普段なら乗り越えられるような課題も、実際より辛く感じてしまうことも多いです。
日本では、うつ病は男性1人に対し女性1.6人がかかる病気です。
加齢に伴い、妊娠や出産・更年期障害などが重なって起こるため、女性の方が男性よりうつ病になりやすい特徴があります。
②うつ病を発症する原因
うつ病を発症する原因については、現代医学ではよくわかっていません。
ただ、うつ病は感情や意欲の起伏を司る脳のはたらきが不調になってしまったことで起こる可能性が高いとみられています。
大きく悲しい出来事があった際にうつ病を発症することが多いですが、まれに結婚や入学、就職など慶事に伴ってうつ病になるケースもあります。
また、内科の治療薬や身体の病気が重なってうつ病を発症するケースもあります。
③うつ病の診断基準
国立長寿医療センターで示されていることは、は広く使われているDSM-5とよばれる指標で「うつ病/大うつ病性障害」と記述されている一群が典型的な病像です。
具体的には、
1.気分が落ち込む
または、
2.興味がわかない/喜べない
という症状のいずれかがあり、そのうえで、
3.著しい体重減少または増加、もしくは食欲の減退または増加
4.不眠または睡眠過多
5.焦って落ち着かなくてじっとしていられない、または逆に身動きがとれない
6.疲れやすい、気力がでない
7.自分に価値がない、自分が悪いと思う
8.物事に集中できない、決められない
9.死について繰り返し考えてしまう
の1から9までの症状のうち、合わせて5つ以上の項目に当てはまれば、「うつ病」の可能性を考えます。
その上で、苦痛であり生活の問題が生じていて、その状態が他の病気や原因からは説明できない場合、「うつ病」とみなして対応を行います。
④うつ病の治療法
うつ病の治療を始める前に、心身が安らぐような休養をとることが何よりも重要です。
たとえば職場・学校・家庭など自身にとってストレスを感じる場所から一時的に離れることが重要です。
うつ病の治療法としては、主に2つあります。
A.薬物療法
主に抗うつ剤が使われますが、服用を開始してもすぐに効果が現れない点は非常に注意が必要です。
自分だけで判断するのではなく主治医に従い、減薬や断薬をすることが大切です。
B.精神療法
代表的なものとして支持的精神療法(カウンセリング)や、デイケアなどの対人関係療法があげられます。
前者の支持的精神療法(カウンセリング)とは、治療者と呼ばれる方と会話をしたり悩みを打ち明けることで、日常生活をする上での助言や激励をもらいながら、問題解決のための能力を高める治療法です。
また、後者の対人関係療法とは、似たような病気を持っていたり同世代の方と関わり合うことで、コミュニケーション能力などを高めつつ徐々に社会復帰を目指す治療法のことです。
2.高齢者のうつ病について
① 高齢者のうつ病とは
女性のうつ病患者数は、50歳代よりも60・70歳代に多いというデータがあります。(厚生労働省 2011年の統計より)
以上のデータが示すように、高齢者がうつ病になる事例が昨今では増えています。
なんとなく今までと違うなと感じた際は、医療機関への早めの受診をおすすめします。
また、高齢者と一緒に暮らすご家族が小さな異変に気づくことも大切です。
高齢者のうつ病の特徴としては、心よりも体に不調が表れる場合が多いことです。
不安や焦燥感が強くなったりずっとぼんやりしていたり、一見すると認知症のような症状を示すことがあります。
特に、内科や外科などでいろいろな検査を受けた結果、異常がなかったのにも関わらず様々な心や体に不調がある場合は、高齢者のうつ病を疑う必要があります。
② 高齢者がうつ病になる原因
高齢者がうつ病にかかるのは、さまざまな喪失体験を抱えてしまうからといわれています。
具体的には、加齢による身体・知的機能の低下や配偶者・知人との別れ、子供との別居や定年退職による社会的役割の減少などがあげられます。
③高齢者のうつ病の治療法
先ほどあげた薬物療法と精神療法に加え、効果的な治療法がいくつかあります。
A.運動療法
適度な運動を行うことは、うつ病の治療につながります。
ちなみに、オーストラリアのある大学で行われた研究結果によると、数ある運動の中でも特にヨガが非常にうつ病に対して効果的だというデータがあります(詳しくは【オーストラリア研究】ウォーキング・ランニング・ヨガで、うつ病を克服できる!?を参照)。
B.社会との連携
家に引きこもりがちにならないようにストレス発散も兼ねて外出し、近所の町内会の活動や交通指導などの奉仕活動をすることで、心身の健康を保つことができます。
社会と連携することで、先述の孤独感・喪失感を紛らわすことが可能です。
3.うつ病と鍼治療
イギリスは、鍼灸文化が非常に発達した国として知られており、うつ病に対して鍼灸が非常に有効ではないかと研究が進められています(詳しくはMad in America – New Data Supports Acupuncture as a Treatment for Depressionによる)。
実際に抗うつ薬の副作用がつらいと感じていた方に鍼治療を行ったところ、頭の中が前向きな考えで満たされ、とてもリラックスできたということです。
そして鍼治療を行う前と後では、血流の量に大きな差があったことが明らかになっています。
脳の活動が活発的に炎症を減らしたことで、脳の神経が刺激され、うつ病の症状が改善したのではないかという見立てです。
このように、鍼治療は体の不調だけでなく心の不調にも大きな効果が期待できることがわかっています。
4.まとめ・あとがき
いかがでしょうか。
それでは、ここまでの記事の内容をまとめます。
まとめ
- うつ病とは気分障害の一種で、特有の精神症状や身体症状が現れ物事の捉え方が悲観的になってしまう病気です。
- うつ病を発症する原因については現代医学でもよくわかっていませんが、脳のはたらきが不調になったことで起こる病気として知られています。
- うつ病の治療は、抗うつ剤などを服用する薬物療法と、問題解決能力を高めるための対話を行う支持的精神療法や、コミュニケーション能力を高めるために同じような病気の方と協力して社会復帰を目指す対人関係療法があります。
- 高齢者がうつ病になる事例は昨今増加傾向であり、認知症のような症状が出る場合も多いです。
- 高齢者がうつ病になる原因はさまざまな喪失体験を抱えてしまうからだと言われています。
- 運動療法や社会との連携を利用して、高齢者のうつ病を回復する手段があります。
- 鍼治療の文化が根強いイギリスの研究によると、体の不調だけでなくうつ病を含む心の不調にも影響を及ぼすことがわかっています。心の不調にも、鍼灸はいい影響をもたらします。
ここまでを読んで、鍼治療を受けてみたいという方は、当院にお任せください。
札幌・小樽・江別にある当鍼灸院では、在宅診療も行っております。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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